特殊配合モルタル吹付工Bについて
特徴
※特殊配合モルタル吹付工A・B 共通の特徴です。
- 基本は吹付工法です。簡単に分けると下地が土砂の場合は特殊配合モルタル吹付工Aとなり、岩の場合は特殊配合モルタル吹付工Bとなります。それ以外に岩の亀裂や隙間に注入して接着固定させる間詰接着工という応用工法もあります。
- 特殊配合モルタル吹付工は「特モル」という愛称で30年余の施工実績があります。主に農林関係の採用事例が多かったため、近年では国土交通省をはじめとする土木事務所関係への普及を推し進めています。
- 採用例としては、農林関係では予防治山、復旧治山、林道開設、林道や管理道の法面補修工事など、また土木関係では落石対策、災害防除、崩落決壊防止、急傾斜地対策や砂防、各種道路の法面補修工事などに広く用いられています。
- 積算は市場単価方式ではなく、林野庁関連協会において標準工種として「特殊配合モルタル吹付工A」や「特殊配合モルタル吹付工B」の名称で施工歩掛や施工単価表が公表されています。
- 対応可能な勾配は、モルタル吹付工法のように吹付材の自重で持たせ掛けている訳ではありませんし、緑化基盤材が滑り落ちるような心配もありませんので、絶壁に近い急勾配やオーバーハングにも適用可能です。(但し緑化を目的とした場合、勾配が急になるほど植物の生長には不利となります。)
- 吹付材の特殊配合モルタルはポリマーセメントモルタルという種類の仲間で、セメントと細砂のモルタルにポリマー樹脂*1を混合することによって接着力や強度が高く、凍結融解性や経年耐久性にも優れた樹脂モルタルですので、冬期の施工や寒冷地における施工にも安心して使用できます。
(*1ポリマーとは、複数のモノマー(単量体)が重合する(結合して鎖状や網状になる)ことによってできた化合物のことです。) - 吹付には圧送ポンプを使用するため搬送力が高く、高所や遠方等への吹付材の圧送も可能です。また、プラントヤードの確保も小規模で済みます。
- 金網は亀甲金網を使用しているため地表の凹凸に柔軟に沿わせることができ、そのうえ切込細工も可能ですので残しておきたい樹木を保全することも可能です。
概要および使用材料
- 風化が進行し亀裂が発達してしまったような脆弱な岩質法面や自然露岩を対象に、亀甲金網で被覆した後に特殊配合モルタルを吹付することによって面全体を接着一体化する工法です。
- 特殊配合モルタル吹付工Bは、岩盤や岩塊の風化侵食防止のため表面に被覆層を形成するという点においてはモルタル吹付工法やコンクリート吹付工法と目的や手法はほぼ同じですが、接着性や強度に乏しいため10センチ以上も厚く吹き付けることで被覆層の耐久性を図るこれらの工法と違い、特殊配合モルタルは吹付材自体の品質が高いので薄い被膜(3~5ミリ程度)で十分に同等以上の効果を発揮することが出来ます。
- 吹付完成面は施工前の岩の凹凸状態をほぼそのままの形で残りますので、景観上、自然な風合いとなります。また、そのくぼみ等に周辺植生の種子が飛来して活着するような自然緑化も期待できます。
使用材料
標準仕様の使用材料は以下の通りです。
(「治山林道必携 設計積算編」標準仕様 (社)日本治山治水協会他発行より )
(「治山林道必携 設計積算編」標準仕様 (社)日本治山治水協会他発行より )
- 亀甲金網φ1.2×26ミリ
- アンカーピン-4本/㎡
〔φ13×400ミリ-1本,φ9×200ミリ-3本〕 - 特殊配合モルタル-10㎏/㎡
特殊配合モルタル吹付工 B 施工方法
伐開・清掃作業
雑木や雑草、コケ、あるいは薄く堆積した土砂や腐葉土などを手作業によって取り除きます。 移動可能な浮石についても除去しておきます。
清岩作業
手作業では落としきれない土埃などの汚れも接着の支障となるため、空気圧縮機や洗浄機を使用して丁寧にそして確実に除去します。
金網張り作業
所定の本数のアンカーピンを用いて、亀甲金網が岩表面に出来る限り添うように敷設します。押さえの補助としてコンクリート釘を使用することもあります。 亀甲金網の重ね幅は10㎝を標準とし、結束線による結束間隔は30㎝程度とする。
吹付作業
特殊モルタルを吹付用に配合(液1:粉3.5)したものを施工面全体に吹き付ける。 岩の亀裂に対しては注入気味に吹き付けて、亀裂内部に特殊モルタルが浸入するようにし、また各アンカー類の頭部へは重点的に吹き付けて、岩とアンカー類を接着固定させる。